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コラム

守秘義務条項

中居正広氏やフジテレビの件にからんで、示談書の守秘義務条項・守秘義務契約が意味が無いなどということを言う人がいるようです。
まず、中居氏やフジテレビの件は、当事者関係者も状況等も特殊な事案なので、特殊な件を取り上げて一般化するのはそもそもおかしい話です。

示談書で守秘義務条項があるとされているので、中居氏も被害者とされる女性からも具体的な話は出ていませんので、その点では(良くも悪くも)守秘義務条項に意味があるといえるでしょう。

 

中居氏の件に限らず、示談の成立までに当事者だけではない人も、当該トラブルがあったことを知ることはあり得ます。
不倫の問題であれば、自分の配偶者が不倫しているのを知った人は家族友人に不倫の話をすることはよくありますし、不倫がバレたら、不倫していた人も友人などに相談するということもあります。職場内の不倫の場合は職場にバレれば職場の関係者も知ることになります。当事者以外の人が知った上で示談書をまとめて示談の当事者は守秘義務を負うという条項があったとしても、示談までに不倫や慰謝料請求のトラブルを知った人は示談書の守秘義務条項に縛られません。その点では、示談書の守秘義務条項があっても、絶対に不倫の事実等が秘密にされるというものではないです。
示談に至るまでの状況によっては、家族や職場に示談の成立等を説明しなければならない状況になっているかもしれません。その場合は、守秘義務条項に、守秘義務の対象から説明しなければならない人を除外しておくということもあります。

守秘義務の条項例として、次のように、示談について説明したい者を「第三者」から除いておくということもあります。
「甲乙は、本件不貞行為および本示談の内容について、正当な理由なく、第三者(甲乙それぞれの両親を除く。)に口外しない。」

 

守秘義務条項を破ったら、示談金(解決金)を返すことになるのかというと、そうはならないと考えます。
一般に「示談」といわれる和解契約は、事故や事件のトラブルがあって、損害賠償責任の解決をするために締結されるのが通常です。
ですから、示談の前提として、損害賠償責任がありますので、示談金は主に損害賠償としての支払いといえます。仮に、守秘義務違反で示談を解除するという主張をして、示談金の返金を求めたとしても、損害賠償責任が無いということにはなりません。示談書を解約して損害賠償責任無かったということを主張・立証し、最終的には裁判までやるというのは実際には難しいでしょう。一定の損害賠償責任があることを認めて示談をしているわけですから、そもそも損害賠償責任が全く無かったのであれば示談をしないのが通常です。

守秘義務条項の違反に違約金の条項を入れることがあります。守秘義務違反があったとしてその違約金の請求をすることはできます。もし相手方に守秘義務には違反していないと主張されますと、守秘義務違反について違反を主張する側が立証することになります。この立証は実際には大変だと思います。
違約金の条項が無くても、守秘義務違反によって名誉信用の毀損など損害を被ったとして損害賠償請求は可能です。

 

不倫の慰謝料の関係で、示談書をまとめて守秘義務やその他の約束をした場合は、基本的には当事者双方ともに約束を守って、後はお互いに関わらずに生きていくのが良いです。示談書は法的トラブルを法的に決着させるためにまとめるものですから、示談書の約束を破って新たなトラブルを生じさせるのは実に愚かなことです。

なお、示談書をまとめるのに、自分の側に立つ弁護士にきちんと相談や依頼をしておかないと、認めなくて良い不利益や義務を負う危険があるので注意が必要です。