請求された場合
あらかじめ以下の内容をご自身で思い出して整理していただけると、相談がスムーズに進みます。
こういった事情をお伺いして情報整理を進めることで、慰謝料の責任を負わなくて良いケースなのか、慰謝料を減額可能なのか等を検討していきます。
交際相手との会話の履歴というのは重要な証拠になり得ます。削除せず、きちんとバックアップを残しておくことが大切です。
同様の事実に比べて高すぎる額が請求されているかもしれません。
不倫した事実を認めた上で相応の慰謝料を支払って解決したいとお考えでも、相手からの請求内容を確認・検討する必要があります。
ご自身で判断せず、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
相手方がどのような要求をしてくるか分かりません。
また、お互いに感情的になり大きなトラブルにもなりかねません。
まずは弁護士に相談することをおすすめします。
自宅に請求書が届くと困る方は、理由と合わせて別住所への送付を相手方に依頼しましょう。
相手方や相手方の弁護士から連絡が来た際は、こちらから何も話さず、相手方の名前と連絡先を聞いた上で後日折り返す旨を伝えましょう。
自分で解決しようと闇雲に動いても、相手方に弁護士が付いている場合、いつの間にか不利な状況に立たされている可能性があります。そうなってしまう前に弁護士に相談しましょう。
いきなり慰謝料請求に関する通知書や電話が、交際相手の妻や夫(相手方)あるいはその弁護士から来たら驚かれるはずです。
あわてて対応してしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし有利に問題解決へと進めるためにも、不用意に動かないことが必要です。
以上のことに注意して対応をしていただきたいです。もしまずい対応を取ってしまった場合でも、ご相談は可能です。早めに弁護士にご相談ください。
慰謝料を請求する側も請求された側も、慰謝料の「相場」は気になるところだと思います。
しかし、慰謝料の金額については、法律で金額や基準が定められているものではありませんし、慰謝料請求の事案は個々に事情も異なりますから、「慰謝料として適正な相場」は〇〇万円だと断言するのは難しいです。とはいえ、不倫の慰謝料請求については多数の判決が出ていますので慰謝料の金額の幅について、ざっくりいうと、不貞の慰謝料は100万円から200万円の間が多く、150万円が一つの目安のように考えられます。
事案によって、150万円より低い場合もあれば高い場合もあります。ただし、私は、慰謝料額についてどちらかといえば減額されていく傾向を感じていますし、夫婦の一方からの第三者に対する離婚に伴う慰謝料を否定した最高裁判所第三小法廷平成31年2月19日判決が出た影響で以前より減額されていくのではないかと予想しています。
なお、判決の結果は慰謝料請求をした側とされた側がそれぞれ裁判所で主張・立証をして争った結果なので、請求された側が主張や反論を何もせずに自動的に150万円といった金額に裁判所が決めてくれるわけではありません。請求する側も請求された側も、法的に意味のある主張をして立証をする必要があります。
請求する側としては、150万円とか200万円という金額を超えて、300万円や500万円といった高額な慰謝料を要求してくることがあります。このような金額は、弁護士が代理人となった場合にも見受けられます。慰謝料は精神的苦痛を慰めるお金ですから、慰謝料として請求する金額を決めるのは、原則として請求額側の自由です。
ただし、1,000万円とか1億円といった類似の事案に比べて異常に高額の慰謝料を主張するのは、請求された側も現実には応じることができませんし、請求する側の弁護士も不当に高額な要求をしたということで弁護士会に懲戒請求される危険があります。ですから、結局のところ150万円や200万円といった金額より高めの300万円や500万円といった金額を慰謝料として請求することになる場合が多いです。
示談の結果は、世の中に公表されるものではないので、示談の場合の慰謝料額の「相場」については何とも言えません。示談で終わる場合は、請求する側からすれば訴訟にならずに早期に決着できて、支払ってもらう確実性も高いので、判決になる場合よりも少ない金額になることが多いと考えられます。
不貞行為(不倫)の慰謝料請求の通知書や訴状を受け取って請求された金額に驚く人も少なくありません。不倫は事実であったとしても、その請求額をそのまま認める必要があるとは限りません。
次のように慰謝料の金額が減額されるべき場合や全額が否定されるべき場合もあるからです。訴訟になった場合はもちろん訴訟前の示談交渉の段階において、請求された側にとって次のような有利となる事情を主張していきます。
慰謝料は精神的苦痛を慰謝する(なぐさめる)ための金銭なので、客観的にいくらと計算できるものではありません。そのため、慰謝料を請求する側は、裁判所の判決で見込まれる金額よりも多めの金額で慰謝料を請求してくることが多いです。つまり、最初に請求してくる慰謝料金額は請求する側の想定する慰謝料額よりも多めの金額である場合が少なくありません。
不貞行為というのは、原則として肉体関係(性交渉)があった場合に問題となるものですから、性交渉に至っていない場合はそもそも慰謝料が生じる原因がないといえるでしょう。どういう事実関係に基づいて慰謝料請求されているのかを落ち着いて確認することで、不貞行為として慰謝料の責任を負う場合でないことが判明することもあります。
不倫の慰謝料請求は法律用語で言う「不法行為に基づく損害賠償請求権」の一種です。この「不法行為」が成立するためには、他人の権利や利益の侵害について故意または過失が必要になります。不貞行為といえる関係があったとしても、交際相手が結婚していることを知らなくて不貞行為の故意がないといえる場合は、知らないことに過失があったとされなければ、不法行為が成立せず慰謝料の責任が生じません。
不貞行為の前に相手方の夫婦関係が実質的に破綻していた場合は、慰謝料は生じないとされています。
暴力等によって自由意思に反して肉体関係を結ばされた場合も不法行為は成立せずに、慰謝料の責任を負いません。暴力とまではいかなくても社会的な上下関係によって仕方なく肉体関係を結ばされたというような場合は、故意過失が否定されるなどして、そもそも慰謝料が生じないか、生じたとしてもその事情は慰謝料を減額すべき事情になり得ます。
判決で認められた金額を現実に回収するのが困難な場合には、請求した側は結果的に勝訴しても慰謝料の支払を受けられないことになります。時間と労力をかけて勝訴判決を得て結果的に1円も支払を受けられないよりも、減額して示談や和解をする方が、確実に回収できる可能性が高いと請求する側が考える場合もあります。