インターネットで特定の誰かが不倫(不貞行為)をしている旨を投稿すると、その人に対する名誉毀損・プライバシー侵害として違法な行為(不法行為)として損害賠償等の責任を負うことになり得ます。
不倫したなどと名誉を毀損された人は、投稿した人に対して損害賠償請求(慰謝料請求)をしたいと考えても、匿名で投稿されていた場合は、投稿した人を特定する必要があります。
インターネットに投稿した人を特定するためには、問題の投稿についてのIPアドレスの開示、そのIPアドレスを利用していた契約者の氏名・住所の開示という流れになります。
IPアドレスの開示のために、IPアドレスを割り当てている接続プロバイダ(経由プロバイダ)に対して、契約者の情報の開示を求める訴訟を行います。
ネットの掲示板に不倫していると投稿された人が接続プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起した件で、裁判所は次のように判断しました(東京地方裁判所令和4年6月29日判決)。
本件投稿は、原告が不倫をしているという事実の指摘を含んでいるところ、不倫が道義的非難の対象となることは公知の事実である。そして、不倫をしている旨の事実が指摘されれば、不倫について具体的な事実が摘示されていなくても、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、原告の社会的名誉を低下させるといえる。また、不倫は私生活に関わる事実であるから、これを本件スレッドにおいて公表することは原告のプライバシーの侵害にも該当する。
この判決のポイントとしては、不倫について具体的な事実が書かれていなくても不倫しているという投稿で名誉毀損(社会的名誉の低下)になるというところです。
具体的なことを書いてないから大丈夫ということにはならないので、軽い気持ちで他人の不倫についての投稿をネットにするのは止めましょう。もちろん、ネット上でなくても、他人の不倫の噂を広めるとかいう行為も不法行為になり得ます。
不倫の事実がウソでも本当でも、名誉毀損・プライバシー侵害となりますので、本当のことだから大丈夫とはなりません。
自分の配偶者(夫・妻)が不倫をしているのであれば、不倫している配偶者や不倫相手に対して適法な手続をとれば良いのであって、不倫配偶者や不倫相手の名誉・プライバシーを傷つける行為は許されません。
ましてや、他者の不倫について、あれこれネットに投稿することは法的にリスクの高い行為です。まともな大人であれば控えるべき行為です。