不倫の当事者間の求償と責任の割合|札幌で不倫・浮気の慰謝料請求に強い弁護士による【不倫慰謝料相談サイト】

コラム

不倫の当事者間の求償と責任の割合

XさんAさんの夫婦で、AさんがYさんと不倫をしたことがXさんにバレて、XさんがYさんに慰謝料請求をして、YさんがXさんに慰謝料を支払った場合、Yさんは支払った慰謝料のうち一定程度をAさんに負担するよう求めることができます。

YさんからAさんへの請求を求償請求と言います。

 

Xさんの慰謝料請求は、AさんとYさんの2人による共同不法行為に基づくものとされています。

共同不法行為をした者は、基本的に共同不法行為によって生じた損害の全額を賠償する責任を負います(不真正連帯債務)。損害賠償責任が共同不法行為者で頭割りになるわけではありません。

この例だと、AさんとYさんでそれぞれ2分の1の慰謝料の責任になるというわけではなく、AさんもYさんもXさんとの関係では全額の責任を負うということになります。

ですから、YさんはXさんに対して、不倫によって生じた慰謝料全額の責任を負います。Aさんとの共同不法行為だから慰謝料を半分にしろとはYさんはXさんに言えるわけではないです。

また、Xさんとしては、AさんとYさんの両方に同時に請求しても良いし、Yさんだけ(あるいはAさんだけ)に慰謝料請求をすることができます。

 

YさんがXさんに慰謝料を支払ったとして、Aさんが慰謝料の責任を負担しないとすると、YさんとAさんとの間では公平ではありません。

不倫はYさんとAさんの二人でしたことですから、Aさんにも責任があります。

Yさんは、Aさんに対して、Xさんに支払った慰謝料のうちの一定割合をYさんに支払うよう請求することができます。

 

このYさんとAさんの割合がどうなるかが問題になります。この割合のことを、負担割合とか責任割合と言うことがあります。

 

基本的に、不倫は配偶者を持つAさんが主位的に責任があるとされます。

個別事案によってその割合は違うとしても、通常は、Aさんの方がYさんより大きい割合で責任を負うと考えられます。

たとえば、Xさんの慰謝料が100万円だったとして、Yさんがその慰謝料100万円を支払って、Aさんに求償する場合、Aさんの責任割合が6割だとするとAさんはYさんに60万円を支払う責任があることになります。

 

不倫の発覚後もXAの夫婦関係が継続して生計を同じにするのであれば、YさんがXさんに慰謝料100万円を支払うことでXAさん世帯に100万円が入り、AさんがYさんに求償金60万円を支払うことで、XAさん世帯から60万円がYさんに戻るという、一部のお金が循環するまわりくどい関係になります。

(こういう無駄なお金の動きを生じることも夫婦の第三者Yに対するXの慰謝料請求を認めるべきではないと考えられる理由の一つです。)

 

示談や裁判上の和解の場合には、このような求償請求をしない条件で慰謝料を減額して取り決める場合があります。

 

責任割合がどうなるかは、法律で割合が決められているわけではないので、個別事案での決着をすることになります。

少なくとも6~7割は、不貞相手(Yさん)との関係では、配偶者(Aさん)に責任があるとされる場合が比較的多いかもしれません。

 

【私見】

私としては、この責任割合は原則として、配偶者10割・第三者0割とすべきだと考えます。

つまり、上記のAさん100%・Yさん0%ということです。

婚姻関係の円満に責任を持つべきなのは夫婦の当事者です。ですから、AYさんの関係では、自ら配偶者を裏切ったAさんが100%の責任を負担すべきだと考えます。

最高裁で第三者に対する慰謝料請求を否定するのが難しくても、いずれ最高裁でこの割合を100対ゼロとする判断が出て欲しいです。